中耳炎ってどんな病気?
耳の奥には鼓膜があります。その鼓膜のすぐ内側が「中耳」であり、そこで起こる炎症全般を指して「中耳炎」と呼びます。
小さなお子様が起こす「急性中耳炎」が一般的にはよく知られていますが、それ以外にも「滲出性中耳炎」「慢性中耳炎」「好酸球性中耳炎」などがあります。
原因や症状、また治療法はそれぞれ異なります。また、中にはほとんど症状なく進行するものもあります。少しでも耳に異変を感じたときには、早期発見・早期治療につなげるためにも、できるだけ早く耳鼻咽喉科に相談しましょう。
中耳と鼻は切っても切れない関係
鼻と口がつながっていることはよく知られています。では、耳と鼻がつながっていることはご存知でしょうか。
正確には、鼓膜のすぐ内側の中耳と、鼻の奥が、耳管と呼ばれる管でつながっていることになります。
つまり、鼻から侵入した細菌やウイルスは、物理的な障害なく、耳管を通して中耳にまで侵入することができるのです。
急性中耳炎の多くも、風邪をきっかけとしてウイルスが耳管を通って中耳に達し、感染・炎症を起こしています。急性中耳炎が小さなお子様に頻発するのは、成人と比べて耳管が短く、角度がないためにウイルスの侵入が容易であるためです。
このように、耳管でつながった中耳と鼻は、切っても切れない関係にあると言えます。
中耳炎の種類
「中耳炎=必ず耳が痛くなるもの」ではありません。また「生命とは関係のない病気」でもありません。
ちょっとしたきこえ辛さ、耳の詰まったような感じがあったときには、お早目にご相談ください。
急性中耳炎
3歳以下で約8割が経験すると言われているのが急性中耳炎です。
主に風邪をきっかけとして発症します。ウイルス・細菌が耳管(鼻と中耳をつなぐ管)を通って中耳で感染・炎症を起こします。
強い耳の痛みが特徴的な症状です。小さなお子様だと、声をあげて泣く、耳を触るなどして痛みを訴えます。ずっと不機嫌であったり、急に食欲が落ちたときも注意してあげてください。耳の痛みの他、耳垂れ、発熱症状も伴います。
滲出性中耳炎
滲出性中耳炎は、急性中耳炎に見られる耳の痛み・発熱のないタイプです。
アデノイド肥大や鼻すすりの癖などを原因とし、中耳が陰圧(真空に近い状態)になることで滲出液が溜まってしまい、炎症を起こします。
耳が詰まったような感じ(耳閉感)、難聴などの症状が見られますが、発熱や耳の痛みはないため、「なんとなく耳の調子が悪いな」と様子を伺っているうちに悪化してしまうケースが珍しくありません。
慢性中耳炎・真珠種性中耳炎
慢性中耳炎は大きく、慢性化膿性中耳炎と真珠腫性中耳炎に分けられます。
慢性化膿性中耳炎は、鼓膜に空いた穴や癒着を原因として、感染・炎症が繰り返される病気です。耳垂れ、難聴などの症状が見られ、悪化する前の早期の治療(鼓室形成術)をおすすめします。
真珠腫性中耳炎は、部分的に中耳側へと入り込んだ鼓膜に耳あかなどが溜まって、真珠のような光沢を持つ塊を形成する病気です。悪化すると髄膜炎などの病気に発展することもありますので、早期の根本的な治療(鼓室形成術)が望まれます。耳が詰まった感じ(耳閉感)、耳垂れ、難聴などの症状が挙げられますが、初期にはほとんど気づかれません。
好酸球性中耳炎
主に好酸球性副鼻腔炎の合併症として起こる病気です。耳垂れ、難聴、耳の詰まった感じ、鼻づまりなどの症状を伴います。