大人の難治性中耳炎『好酸球性中耳炎』
白血球の1つに数えられる“好酸球”は、私たちの身体を守ってくれる免疫機能を担います。健康と体調の維持には欠かせないものですが、増えすぎると炎症の原因になり、身体のさまざまな部位で病気を引き起こします。
好酸球性中耳炎もそのうちの1つで、主に好酸球性副鼻腔炎の合併症として起こります。50代以降の発症が多く、治療も難しい病気です。気管支喘息を合併することもあります。
好酸球性中耳炎になるのはなぜ?
ほとんどの好酸球性中耳炎は、好酸球性副鼻腔炎の合併症として起こります。好酸球性中耳炎が単独で発症するのは、ごく稀なケースです。
炎症を引き起こす好酸球の増加は、細菌の侵入やアレルギー物質による刺激が原因ではないかと言われています。
こんな症状があると好酸球性中耳炎の可能性が…
- 耳垂れ
- 難聴
- 耳の詰まった感じ(耳閉感)
- 鼻づまり など
好酸球性中耳炎はどのような検査をして診断するの?
顕微鏡や内視鏡での視診、聴力検査、ティンパノメトリー検査、CT検査、血液検査などを行い、診断します。
ティンパノメトリー検査とは、外耳道の空気圧を変化させ、鼓膜の動きを観察する検査です。
好酸球性中耳炎の治療法は?
好酸球性副鼻腔炎、気管支喘息の合併症として好酸球性中耳炎が現れている場合には、先に好酸球性副鼻腔炎や気管支喘息の治療を行います。それらをコントロール状態で好酸球性中耳炎の治療にあたることが大切です。
内服治療
ステロイドの内服にて、好酸球の増加、拡大を防ぎます。
ステロイド注入
症状が重いケースでは、中耳内にある鼓室にステロイドを注入します。
手術治療
鼓膜切開術
鼓膜に小さな穴を開け、中耳に溜まった液体を排出させます。
鼓膜チューブ挿入術
鼓膜に開けた穴に小型のチューブを差し込み、中耳の換気を改善します。
鼓室形成術
中耳にある鼓室を清掃し、感染・炎症が起こらない状態を作った上で、耳小骨や鼓膜を再建します。
鼓室形成術には通常内視鏡が用いられますが、内視鏡では届かない場合、耳の後ろの付け根から切開して処置を行うこともあります。その場合も、耳の後ろのシワや影に沿って切開するため、傷痕はほとんど目立ちません。
※現在でも好酸球性中耳炎に対する鼓室形成術には賛否があります。患者様ごとに、期待できる効果やリスクを十分に吟味し、慎重に検討していく必要があります。