鼻づまりを引き起こす鼻中隔弯曲症
鼻の穴を二つに分ける仕切り部分を「鼻中隔」と言います。この鼻中隔が左右に曲がっていることで、空気の通りが阻害され、鼻づまりが起こります。中には、日常生活に大きく支障をきたすケースも見られます。
鼻中隔が曲がっていること自体は珍しくなく、日本人の約9割にこの鼻中隔弯曲が見られます。その程度が強くなり、鼻づまり症状が現れると「鼻中隔弯曲症」と診断されます。
日本人を含むアジア人は、目と目の間の鼻(鼻根)が骨格的に低いため、症状が現れやすいのではないかと言われています。
鼻中隔弯曲症になるのはなぜ?
鼻中隔は、骨と軟骨で構成されています。ヒトの身体が成長する過程、特に脳を支えるバランスの中で鼻中隔の骨・軟骨の間で発達の程度に微妙な差が生じ、それが鼻中隔全体の歪みへと波及します。
鼻中隔が曲がっていることで、空気の通りが悪くなり、鼻づまり症状を起こすと「鼻中隔弯曲症」と診断されます。
鼻中隔弯曲の程度が強いケースでのリスク
鼻中隔の曲がり具合が強ければ、それだけ症状が現れる可能性が高くなります。また、重度の場合は副鼻腔炎を合併することも多くなります。
主な症状
主な症状は鼻づまりです。重度になり副鼻腔炎を合併している場合には、その症状も伴います。
鼻中隔弯曲によって片方の鼻腔だけ過度に乾燥し、鼻出血を頻発することもあります。
どんな検査が必要?
内視鏡検査、CT検査により観察し、症状(鼻づまりなど)の有無を確認し、診断します。
鼻中隔弯曲症の治療法
鼻づまりに対する対症療法も考えられますが、当院では基本的に手術(鼻中隔矯正術)をお勧めします。鼻中隔弯曲症は鼻中隔の構造的な問題であるため、対症療法の効果は一過性のものとなります。
長い間、強い鼻づまりにお悩みの方ほど、その症状に慣れてしまい、当たり前のものとして受け入れる傾向にあります。鼻中隔弯曲症の根本的な問題を改善する鼻中隔矯正術を受けた方の多くが、その劇的な変化に驚かれます。
口呼吸から鼻呼吸へ
鼻中隔矯正術や副鼻腔手術などの手術によって大幅に症状が改善されることで、口呼吸から鼻呼吸への移行が期待できます。
口には、鼻のような異物除去のための構造がありません。細菌・ウイルスをそのまま取り込むため、それだけ感染のリスクが高まります。また、冷たいままの乾燥した空気は、肺の免疫力の低下を招きます。口内が乾燥し、虫歯・歯周病のリスクも上昇します。
哺乳類はもともと鼻で呼吸するべき構造・生理を持っています。口呼吸から鼻呼吸に改善することで、身体にとってさまざまなメリットが得られます。